対談コラム

【セミナーレポート】テレワークの先にある副業人材の活用!離職率の低減効果と社外リソースの戦力化について


▲画像引用:FUSE、Facebookイベントページより

テレワークを実施している企業から、自社にないスキルや知見を持つ副業人材を活用できる下地が整い始めています。

副業をしたい人の数も実際に増えており、「首都圏にいながら地元の支援がしたい」「本業で培ったスキルで、他の企業や地域へ貢献したい」と考える人も少なくありません。

そうした貴重な副業人材の力を借りるためにも、企業にはテレワークできる環境整備が求められつつあります。幅広い人材を場所に関係なく受け入れるためには、マインドシフトも必要です。

そのような背景から今回、副業人材の活用をテーマにイベントが開かれました。浜松いわた信用金庫の運営するイノベーションハブ拠点「FUSE(フューズ)」を舞台に、HRイノベーター/複業研究家の西村創一朗氏と、ワークスタイルおよび組織開発の専門家である沢渡あまね氏が登壇しました。

副業に関心を持つ多くの人材から申し込みを集め、100名の定員が満席となった本イベント。この記事では、イベント当日の様子を一部レポートします。
 

イノベーションハブ拠点のFUSEを起点にライブ配信


▲画像引用:FUSEホームページより

本イベントは、浜松いわた信用金庫の運営するイノベーションハブ拠点「FUSE(フューズ)」にてオンライン開催されました。

FUSEは、起業家や起業・創業を目指す人、イノベーションを叶えたい人などが集う地域のコミュニティです。セミナースペースや最新のデジタル工作機械を備えたファブスペースなどを完備し、プロダクトやサービスの開発を小さくスタートできる場所として機能しています。

そのようなFUSEのコミュニティ機能により、沢渡氏と西村氏のトークイベントが実現。テレワークや副業などの新たな働き方を受け入れている組織と、着手できていない組織との差が開き始めていることに着目しました。
 

イベントのテーマである「複業」と、一般的な「副業」との違いとは?


▲画像引用:【2020年版】「副業」と「複業」の違いについて|西村創一朗(複業研究家)

まず西村氏より、副業と複業の違いについて解説がありました。一般的に副業とは、本業以外に行う仕事を指します。その第一目的は、副収入を得ることにあります。

一方の複業は、複数の仕事を持つことをいいます。並行して複数の仕事やプロジェクトを行うことから、パラレルワークとも呼ばれます。本業とそれ以外の仕事といった区別はせず、自身のスキルによって社会貢献や価値提供をすることに重きを置いた言葉だそうです。

複業で携わる仕事には報酬を得る仕事もあれば、無償でスキル提供を行うボランティアも含みます。よって、本業だけでは得られないスキルや経験、知識、人脈などを得ることによって自己実現することが複業の第一目的です。


▲副業と複業の分類が一言でわかりやすい:西村氏のツイートより

今回のイベントでは複業にスポットライトが当てられました。以降、「複業」の記載に統一します。
 

タイムスケジュール

19:00~19:10 オープニング 
19:10~19:30 スピーカートーク①「業務改善の問題地図」著者 作家/ワークスタイル専門家 沢渡 あまね 氏
19:30~19:50 スピーカートーク②「複業の教科書」著者 複業研究家/HRマーケター 西村 創一朗 氏
19:50~20:40 「業務改善の問題地図」沢渡あまね氏 ×「複業の教科書」西村創一朗氏 対談
20:40~21:00 質疑応答&クロージング
 

登壇者プロフィール

西村氏(左上)、沢渡氏(右上)、西舘氏(左下)、辻村氏(右下)

沢渡 あまね 氏|
作家、業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士。350以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革や業務プロセス改善の支援・講演などを行う。あまねキャリア工房 代表(フリーランス)/株式会社なないろのはな取締役 浜松ワークスタイルLab所長/株式会社NOKIOO顧問など。

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Twitter:https://twitter.com/amane_sawatari

西村 創一朗 氏|
複業研究家/HRマーケター。2011年に株式会社リクルートキャリアに入社後、複業で「二兎を追って二兎を得られる世の中を創る」をミッションに株式会社HARES(ヘアーズ)を創業。しばらくは会社員兼経営者として活動後、2017年に独立。19歳で学生結婚し、現在3児(12歳/9歳/5歳)の父。NPO法人ファザーリング・ジャパンの最年少理事も務める。著書に『複業の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。

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西舘 聖哉 氏(モデレーター)|
新卒で富士通グループに入社後、イベントの魅力にハマり独立。現在はイベントアクセラレーターとして、オンラインイベント運営やライブ配信、企業プロモーションイベントのディレクターなどに従事。株式会社なないろのはな取締役、KaleSco. ーイベントラボー 代表。

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Twitter:https://twitter.com/nisei_86

 
辻村 昌樹 氏(主催)|
浜松で生まれ育ち、浜松いわた信用金庫(当時:浜松信用金庫)に入庫。営業店勤務ののち、公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構へ出向。2年間の勤務を終え、同金庫法人営業部 地域活性課で浜松の産業支援活動に従事する。2019年よりCo-startup Space & Community FUSEの立ち上げに参画、コミュニティビルダー として今に至る。

Facebook:https://www.facebook.com/masakitsujimura
Twitter:https://twitter.com/TsujimuraMasaki

 

スピーカートーク①:「#ダム際ワーキング」×「複業」に見るミライの働き方|沢渡氏



スピーカートーク①では沢渡氏より、複業が企業や地域に与える効果についてレクチャーがありました。

ワークスタイルおよび組織開発の専門家として、全国350以上の組織改善に携わってきた沢渡氏。現在は浜松市に拠点を置きながら、域内/域外を問わずさまざまな企業や自治体、個人とのコラボレーションを実現しています。

そんなイノベーティブな働き方を可能にしているのが3つのハイブリッドだそうです。
  • 顔のハイブリッド
  • 働く場所のハイブリッド
  • 業種・職種のハイブリッド

それぞれについて、沢渡氏は次のように説明しました。




「たとえば、『A社に勤めながら、B社で複業もしている』『フリーランスとして、いろんな会社の仕事を請け負う』といった人が、これからどんどん増えていくでしょう。

私も、企業の顧問や取締役としての『顔』を持ちながら、作家としての『顔』も持っています(顔のハイブリッド)。

複数の顔を持つのと同時に、『働く場所のハイブリッド』も重要になります。オフィスでも従来通り働きますし、現場のオペレーションも重要ですが、リゾート地で働くことも可能になれば理想です。

(リゾート地で働くことには非現実的な印象があるかもしれませんが、)ここで言いたいのは、どこにいても必要な場や人々とつながり価値を生み出すような働き方が、求められているということです。

また、イノベーションは、業種・職種の掛け合わせによって生まれていく時代です(業種・職種のハイブリッド)。

たとえば、フィンテックという言葉があります。これは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語で、金融サービスとITの融合による革新的な動きをいいます。

こうした言葉に代表されるように、異なる業種の掛け合わせで既存の物事を解決していく。あるいは、新たな価値を生み出していく。そんな動きが加速しています」



また、上記3つのハイブリッドは世の中で加速度的に進んでいます。その背景について沢渡氏は、「極端な話ではありますが、組織単体や単一職種では勝てない(生き残りの難しい)時代になってきている」と説明します。それゆえこれからの企業は、この3つのハイブリッドを使いこなすことが求められているのです。

「たとえば、浜松でワーケーションしたい(地域外の)企業があったときに、(3つのハイブリッドを駆使して)浜松の企業・人材がその企業といかにつながれるかが重要です。

(地域外企業と交流を持つことで、)浜松になかった発想やリソース、人的スキルをいかに確保するかが鍵なのです。

ワーケーションを、一過性の流行りもので終わらせてしまってはいけません。(ワーケーションを使いこなすことで)複業人材を受け入れて、地域や自社にないスキル・ノウハウを部分的にでも借りましょう。

そうすることで、新らな市場を開拓する、新たな人を採用する。これができる企業がミライを勝ち抜いていけるのだと思います」

3つのハイブリッドを使いこなせるようになるためにも、テレワーク環境を整えることが必要です。オンラインで仕事・コミュニケーションができる状態になければ、場所や業種・職種を超えて適切な複業人材とつながり、価値を生むような働きが難しいためです。

テレワークの導入は、地方の中小企業にとっても喫緊の課題といえます。社内の一部署からでもテレワークを導入していきましょう。

テレワークの具体的な進め方については、以下の記事を参考にしてください。
 

1.テレワークの効果・効用と始めの一歩の進め方について

経営課題解決のためのテレワーク導入・活用Webセミナーレポート|ハマリモ!アドバイザー杉浦×沢渡

 

2.テレワーク導入の準備から実装までの5ステップ

テレワーク導入ガイド|ハマリモ! 浜松テレワーク推進プロジェクト

 

3つのハイブリッドを使いこなすとどうなる?個人と企業それぞれに見る複業のメリット



テレワークをはじめとする場所に捉われない働き方や複業を行うと、どのような効果が得られるでしょうか?沢渡氏は、 #ダム際ワーキング(※)を自ら実践する中で見えた6つの効果について解説しました。

※ #ダム際ワーキング とは?
ダム際および近隣のカフェや宿泊施設などで仕事をしながら、自然の中でリフレッシュする新しい働き方。リモートワーク、ワーケーションの一つの形態として沢渡氏により提唱される。#ダム際ワーキング公式サイトはこちら
 

複業のメリット:個人編

まず、個人にとってのメリットは4つあるそうです。
  1. 異動に左右されず、専門性/キャリアの軸を確立できる
  2. スキルに汎用性を持たせることができる
  3. プロとしての経験値が増える
  4. 下請けマインドからの脱却が期待できる

たとえば企業に雇用される働き方では、異動によって今までのノウハウがフルリセットされてしまう可能性があります。しかし複数の企業に所属して仕事をしていれば、一方の企業で異動があっても、他方の企業では専門分野の仕事を続けることが可能です。フリーランスの形態を取ることで、自身の専門分野に特化することもできます。

また、複数の現場で活動することで経験値を増やせ、それによりスキルの汎用性を高められます。とくにトップダウンの組織に所属している場合では、組織や業務の枠を超えて自身のスキルを高めることは難しいかもしれません。そんなとき、複業に携わることで、イノベーティブなマインドを育成したり、主体的に仕事する経験が持てたりするのです。
 

複業のメリット:組織編

あわせて、企業にとっての複業のメリットは大きく分けて2つあります。
  1. 自組織にない知見や経験、人的ネットワークをシェアリング形態で享受できる
  2. 「飽きっぽい」人の離職を防ぐことができる

自組織にないようなプロの知見や専門家のノウハウを借りられるようになるのは、最大のメリットといっても過言ではありません。複業人材に一部の業務を委託する、協力してもらうことが可能になります。他社・他組織の人的リソースをシェアリング形態で活用できるということです。

イノベーティブな人材ほど、変化を求める傾向があります。言い方を変えれば、飽きっぽい人も多い(苦笑)。とはいえ、企業側もつねにイノベーティブなテーマの仕事を社内で用意できるわけではないでしょう。

複業解禁には、そうしたイノベーティブな人材が、社外の革新的なプロジェクトに携われるようにする意味も込められています。複業を許可することで、イノベーティブな人材の社外流出を抑えられるのです。



沢渡氏は、3つのハイブリッドを使いこなし、場所に捉われない自由な働き方を実践したことで、「柔軟に他者・他社とつながり、新たな価値が生まれやすくなったと」と言います。

「固定化された環境から解き放たれることで、離れた場所にあるリソースを正しく活用できるようになります。そうした動きから、組織も個人もより自身のポテンシャルを発揮できるようになるのです。こうしたミライの働き方が、テレワークやデジタルワーク化の先にあります」(沢渡氏)。

沢渡氏も実際に、対談やビジネスミーティング、企業間連携など、たくさんのコラボレーションによる新たな価値提供を起こしています。このように、個人と組織の成長につながる複業。まずは、社内の一部署からでも複業の解禁を検討してみてはいかがでしょうか?

 

スピーカートーク②:複業の5つの壁|西村氏


続くスピーカートーク②では、西村氏より、副業・複業の実践方法についてレクチャーがありました。副業・複業を実際に行いたいと思ったとき、個人や組織が共通してぶつかりやすい壁があるとのこと。どのような壁があるのか、そして、その壁の突破方法について解説がありました。
 

複業を始めるときにぶちあたる5つの壁とその乗り越え方


西村氏は、「延べ1,500名以上の副業・複業を支援してきた中で、みなさんに共通している“5つの壁”があった」と言います。

複業を始めた当初や始めたいと思ったときにぶつかる壁を正しく認識し、適切な対策を取ることが望まれます。

複業の“5つの壁”にはどのようなものがあるのでしょうか?西村氏は、次の5つを提示しながら、それぞれの乗り越え方を解説しました。


 
  1. 組織の壁
  2. 意識の壁
  3. スキルの壁
  4. 有料化の壁
  5. 時間の壁
 

1.組織の壁

組織的な圧力により、複業の許可を申請しづらかったり、複業が解禁されなかったりするのが、組織の壁に当たります。

そもそも会社が複業を禁止している。複業が解禁されたものの、上司が複業に対してネガティブなので許可申請を言い出しづらい。前例がないため、複業申請が却下される。といったことが、みなさんの組織においてもないでしょうか?

ちなみに、複業(副業)を認める会社はこの5年間で3倍以上に増えています(※)。今は複業が禁止されている組織においても、そう遠くない将来に解禁される可能性はあるかもしれません。

株式会社マイナビ|働き方、副業・兼業に関するレポート(2020年)より

ただし、今すぐに複業を始めたい人は、どうしたら良いでしょうか?

「まずはスキルアップや地域貢献を目的として、無料で始めるのがポイントです。複業でお金をいただくためには、どのみち実績や価値を出せる自信があったほうが良いですから。

まずは無料でサービス提供を始め、自信と実績をコツコツと積み重ねていくのがおすすめです。ボランティアを禁止できる企業はありません。無料で複業を始めることで、組織の壁は突破できます」(西村氏)
 

2.意識の壁

「じつは『意識の壁』が最大の壁だ」と西村氏は言います。個人が複業への一歩を踏み出すうえでも、どのような意識を持つかがポイントになるそうです。その理由について、西村氏は次のように語りました。

「大学を卒業して、就職をして今に至るまで、雇用による『労働』によってしかお金を得る経験をしたことのない人がほとんどです。労働とは、働いた時間に対して給料をもらう働き方です。

一方の複業は、基本的に『商売』です。商売とは、仕入れた商品・サービスに対して付加価値をつけて販売し、対価をもらう収入の得方です。クリエイティブワーカーの方にとっての仕入とは、スキルやノウハウを積み上げること、と考えて良いと思います。

労働:働いた時間に対して給料をもらう 例)今月40時間働いたら10万円もらえる!
商売:素材を仕入れ、付加価値をつけて販売する 例)手づくりの雑貨を販売する、ITスキルを生かしてWebサイトを作る

複業は商売なので、給料は働いた時間に必ずしも比例しません。私も、(複業を始めた初月は、)月40時間働いても1円にもなりませんでした。2カ月目にも月40時間働きましたが、1カ月の収入はたったの62円でした。

ただし、コツコツと価値提供を続けていけば、労働と比べ物にならないくらいの収入が得られるようになるのも、商売である複業の魅力です。商売の芽が出るまでの期間も楽しめるかが鍵。経験やつながりを得られるなど、お金以外のメリットを享受できるスタンス(を持てるか)が重要です」
 

3.スキルの壁

「副業にできるネタがない、スキルがない。プロフェッショナルと呼べるものがない。そのように、自分に提供できる価値がないと、多くの人が言います」とスキルの壁を説明したうえで、「ただ、専門性がないというのは、基本的に思い込みなんです」と西村氏は語ります。

「一定期間、企業に属して仕事をしてきた方なら、これだと言えるスキルが必ず見つかります。自分の専門性を見つけるポイントは、やってきたこと(成果・TODO)ベースで考えることです。

職業・職種で考えるのではなく、これまでやってきたことや人の役に立てること、人から役に立つと言われることなどを書き出してみましょう。これは、箇条書きで構いません。

その中で、自分がもっとも役に立てそうなことが1つあれば、それを深掘りしていくのです。成果が出た要因をなるべく細かく分解しましょう。ニッチな領域に絞り込まれるほど、それは自分にしかできないことになっていきます」

これまでやってきたことの中に、複業のタネが眠っているとのこと。副業を検討している人は、ぜひ一度、自分の得意なことを書き出してみてください。
 

4.有料化の壁


いざ複業を始めると、どのように料金設定すれば良いのかは悩みどころです。無料で始めた場合は、どのタイミングで報酬をもらえば良いか判断に迷うこともあるでしょう。西村氏は、これを4つ目「有料化の壁」だと説明します。

この有料化の壁も、自身のレベルに合わせて対策ができるそうです。

やりたい気持ちが大きい一方、スキルや実績に乏しいアマチュアの段階では、「まずは無料から始め、経験値を得ることに専念するのが選択肢の一つ」だとしました。ただし、無料の期間に期限を設けるのが重要です。

「回数や人数で区切っても良いでしょう。10人まで無料、あるいは3カ月間は無料とといった形で、期限を作ります。その無償期間の中で信頼と実績を積んだら、そこから先は有料化するのです」(西村氏)

商品・サービスを有料化したら、セミプロの段階に移行したといえます。セミプロの段階における価格設定について、西村氏は次のように語りました。

「セミプロの段階では、相手の言い値や予算、市場価格によって価格設定をするのが良いと思います。

まれに、アウトプットに見合わない価格を言われることもあるかもしれません。それでも収入以外でプラスになる部分があるならば、受けるのも一つの選択肢です。

ただし、時給に換算してみて『この(安い)時給で、これだけの価値を提供しなければいけないのか』とネガティブな感情を抱いてしまうときは、危険です。その気持ちがアウトプットに影響してしまうためです。

『時間単価に換算すると、最低価格はこれくらいになる』というラインを決めておくことをおすすめします」

そして、「周りからのニーズやオファーが大きくなってきたら、プロフェッショナルの証です。需要が供給(自分が提供できる時間や商品・サービス量の)を上回った段階で、値上げを検討すると良いと思います」
 

5.時間の壁

さいごの壁が「時間の壁」です。複業に使える時間には限りのある場合がほとんどでしょう。本業に集中しながら、複業にも専念するためには、時間の使い方を工夫する必要があります。

生産性向上や時短のためのテクニックがたくさんあります。自分に合った方法を見つけられると良いでしょう。

時間の作り方については、個々人の向き不向きや状況に応じてさまざまな方法があります。西村氏の著書、『複業の教科書』にくわしく書かれていますので、興味のある方は読んでみてください。

 

クロストーク・質疑応答:沢渡氏×西村氏×辻村氏、モデレーター西舘氏

続くクロストークでは、参加者から寄せられた質問や悩みに、沢渡氏と西村氏、FUSEより辻村氏が答えていきました。ここでは、いくつかの質問をピックアップし質疑応答の様子をお伝えします。

 

質問1:忙しい上司とどのように複業について話しあえば良いですか?


1つ目の質問は、上司が業務に忙しく、話し合いの機会を持つのが難しいとお悩みの方から。複業の許可や複業人材の活用について、どのようにアプローチすれば良いか、というものでした。

この質問に対する沢渡氏の回答は、「相手のキーワードに飛び込む」というもの。

「上司が抱えている問題や悩み、会社から与えられているミッションなどがあると思います。そうした相手の問題・課題(キーワード)の解決になるような形で、複業の許可などを提案してみることです。

たとえば、地方都市の企業にとってのキーワードは、『採用』や『人材定着』であることがとても多いです。良い人材を採用したり、離職率を下げたいとつねに思っているのですね。

離職を防止する手段として、複業解禁を検討する企業も増えて来ました。相手のキーワードと自分の世界観(大切にしたいこと)を、いかにつなぎ込むかが重要だと思います」



続く西村氏も、「沢渡さんと同感です」とし、全国から複業に関する相談を受ける中での体験談をシェアしました。

「私も、採用がうまくいったり離職を防げたりするといった複業の効果面を伝えるようにしています。すると、『そんな裏技があったのか』と驚いて、複業解禁を検討される方は多いですね。

この1、2年で、首都圏だけでなく、名古屋や大阪、それ以外の地方からのご相談が増えました」

辻村氏は、テレワークや副業が始まって以降の労働環境の変化について触れました。「働く場所の概念が、とくにコロナが起きてから変わってしまいましたね。浜松で働いていた人が、テレワーク可能な域外の会社に転職してしまうということも起きています」

企業にとって重要な課題を解決するための手段になる。その点こそが、複業解禁の本質となります。たしかに、個人にとってのメリットを訴えるだけでは、自組織で複業を解禁するまでの意思決定に至らないかもしれません。自組織の重要課題を解決する側面を複業に見い出し、上司に提案できると良いでしょう。

 

質問2.複業に対するネガティブな固定観念は、どうしたら壊せますか?



続いての質問は、勤め先の企業が複業に対してネガティブな固定観念を持っているという方から。企業・自組織への働きかけ方や、自分自身のマインドを変える良い方法について、登壇者からアドバイスがありました。

西村氏は、自分のマインドを変えるには、「越境(企業の枠を超えた人材交流)」が大事だとしました。「越境、つまり、社外の常識を知ることが重要です。自社では当たり前になっていることが、社外の人に何気なく話してみると、じつは常識ではないことが良くあります」

続けて沢渡氏は、「異なる環境に身を置くのは重要ですね。たとえば現場で愚痴を言っているだけでは、自分たちの価値は上がりません。組織も変わりません」と話します。

「たとえば、社長と対話したことはありますか?管理職の人と対話していますか?自分と異なるレイヤーの人と関わってみることが大切です。これまでのコミュニティから勇気をもって飛び出し、自分と異なる考えや価値観に触れましょう」(沢渡氏)



辻村氏も、金融業界の外の世界に触れたことで、知見が広まったエピソードをシェアしました。

「私も、地域産業支援機関に出向したことで、外から金融機関・金融業務を俯瞰できました。それまでは入庫から約8年間、店舗の業務に専念していたので、どれだけ狭い考え方をしていたかに気付いていませんでした。

近年では、起業家の方々のコミュニティに顔を出すようにしています。人のつながりが一気に増え、金融業務のときとは違う感覚を持てるようになったと感じます。

自分がいる『箱』の中から一歩出るのは勇気が要ることですが、その一歩を踏み出す勇気が持てれば固定観念を変えられるのではないでしょうか」(辻村氏)

 

質問3.複業における仕事の選び方は?


複業において何を仕事にするのか、あるいは、仕事を請ける基準をどこに置くのかは、重要な課題かもしれません。

この課題について西村氏は、「経験報酬なのか、金銭報酬なのかで判断しています。ですので、その時々のシチュエーションによるでしょうか」と語りました。

複業には、種まき型の仕事と収穫型の仕事の2種類あるといいます。
  • 種まき型の複業=経験報酬がメイン
  • 収穫型の複業=金銭報酬がメイン
新しいスキルや経験を得たい、新たなキャリアの幹を作っていきたいフェーズにおいては、種まき型の複業を選択します。思ったような金銭報酬を得られなくとも、スキルや経験といった自分を高める価値報酬を得られるならば、思い切って請けても良いでしょう。

実績を積み、収入の柱にできる準備が整ったら、時間単価をしっかり稼ぐことができるかという基準で見ていくのが良いそうです。

沢渡氏は、自らの価値観を明確にしておくことを提案。

「自分の世界観に関わる仕事だけをしています。同じ世界観に巻き込まれうる仕事なら喜んで受けます。逆に、世界観のどこにも関わらないものなら、執筆依頼(自分の本業、強みのあること)であっても受けません」(沢渡氏)

辻村氏は、「自分が楽しいか、ワクワクできるかどうか」を基準にしているとのこと。

「ワクワクできる仕事でなければ、結局のところ継続できないからです。(自分にとってのワクワクできることは、コミュニティづくりで、)ここ10年ほどコミュニティづくりをやってきました。

いろんなネットワークができるにつれて、自分にできることの幅がかなり広がってきているのを感じます。楽しくてワクワクでき、長く続けられそうかどうかが、自分が複業を選ぶときの基準になっていると思います」(辻村氏)

その仕事で得られる報酬が何であるのか、そして、自分の喜びや価値観と合った仕事かどうか。この2点が複業における仕事選びのコツのようです。

このあと終了時刻のギリギリまで、さまざまな質問やアドバイスが飛び交いました。

 

まとめ:テレワークを皮切りに複業人材の活用の検討を

副業・複業人材を広く受け入れられるかどうかは、数多くの企業・地方自治体の中から選ばれる組織となるために必要な条件となりつつあります。複業を可能にすることで、自組織にないスキルや知見を広く借りられるようになります。
 
場所に関わらず適切な複業人材の協力を得るためにも、テレワークの実施は大前提です。テレワークの導入は、働き方の選択肢が増えることにもなります。テレワークと複業解禁の掛け合わせにより、離職率の低下やコラボレーションによる新たな価値創造を生むきっかけを作れます。
 
テレワークや複業解禁、複業人材の活用を、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

ハマリモ!では、テレワークに関するお悩み・質問をお受けしています。こちらの問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
 

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